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研究館より

ラボ日記

2024.05.15

久しぶりのクモ採集

今年のゴールデンウィークは高槻では晴れの日が多く暑かったです。私は暑さに負けそうになりながらも、室長の小田さんとクモ採集に出掛けました。研究に使っているオオヒメグモは何世代にも渡って研究室で飼育しており採集の必要はなくなっていますので、野外で採集するのは久しぶりです(おそらく10年ぶり以上)。おじさんとおばさんが藪をガサゴソしているのも、ちょっと(いや、かなり?)不思議な光景であったのではと心配しています。そんなこと気にするものではない、と隣にいた人に怒られそうですが。今回の採集はネコハエトリというハエトリグモが目的です。発生のしくみの進化を知るためには系統的に少し離れたクモの情報もあると良いなと思っており、ネコハエトリはそのような観点からも、また遺伝情報の解析を考える上でも、かなり良い位置にいるのです。さらに、最近、研究室の藤原さんが研究所構内で別種のクモの卵を見つけ、胚発生の様子を観察していたことにも刺激されました。同じようで違うところに興味が湧きます。ここ何年かかけて行っているオオヒメグモ胚を用いた単一核RNA-seq解析で、核のもつ膨大な情報から特徴を抽出してプロットしたところ、プロット上に前後(頭尾)の軸に沿ったパターンが再構築されました。他のクモでもそのようなことが起こるのであれば、1つ1つの遺伝子のクローニングや卵の染色などを大して行わなくても、パターンの解析ができるのでは……などと皮算用です。

さて、採集ですが、インターネットではネコハエトリはよく見かけるとの記述が見られるのですが、なかなかどこにいるやら、初日は高槻市内を歩き回りましたが、見つからず。今思うと見当違いのところを探していたようです。2日目は少し足を伸ばして、ネコハエトリがいるとの情報があった公園へ。木の枝をガサゴソして落ちてくるものを拾い集めれば良いとの情報も見つけ、ガサゴソすること1時間半あまり。「変なのがいる」との声に近づいて行き、見てみると、ネットの写真で見たようなものが。まさにそうではないかと、大切に1匹を連れ帰りました(写真)。どっしりとした体型で、つぶらな瞳。のんびりしていそうなのに、ショウジョウバエを入れるとサッと飛びついて捕まえます。動物行動学の研究によく使われているのも納得です。とりあえず今回はどんな所にいるか分かっただけでも大収穫でした。卵を産んでくれると良いのですが。(って、ちょっと欲張りですかね?)
 

ショウジョウバエを捕らえたネコハエトリ(撮影:小田広樹)

動物の初期発生に興味を持ち、オオヒメグモを用いて研究しています。