1. トップ
  2. 語り合う
  3. 研究館より
  4. 進学先を決める時期

研究館より

ラボ日記

2025.06.17

進学先を決める時期

先週、私たちのラボから論文が発表されました。博士課程の学生と研究員の秋山が5年かけて成し遂げた偉業です。解説記事を書きましたのでそちらも是非ご覧ください。

研究の過程で学生も成長します。実験・解析を重ねて、投稿論文まで仕上げるとなると本当に大変です。その大変さは私が学位を取った30年前とは大きく違います。やれること、試すことが増え、飽和したかに見える中で、インパクトのある、新しいストーリーを生むことの難しさ。だからと言って、研究者になりたいという学生に安易な妥協は勧められません。発見時の感動、まとめ上げた時の達成感は特別なものです。頑張って欲しいです。

夏の大学院入試に向けて出願先の研究室を決める時期になっています。JT生命誌研究館でも大学院生を募集しています。

今年のNature誌(Vol. 639, 556-557| 2025)に、「博士課程学生の学術界での成功に研究室の規模が影響」するという記事がありました。大規模な研究グループで訓練を受けた方が小規模な研究グループで訓練を受けた研究者よりも学術界で大きな成功を収める傾向があるらしい。一方、小規模な研究グループで訓練を受けた方が学術界に残る率が高いという傾向もあるらしい。私の経験に基づく印象とも合う気がします。ここからは私の印象ですが、大きな研究室では優秀な人材に教員の関心が集中しがちで、多くの学生は放っておかれるということもあるかもしれません。それでも、その放っておかれた状態で比較的自由にできるというのも大きな研究室の利点かもしれません。メインテーマでないところから、ふっと面白いテーマが見出されることもあるのではないでしょうか。小さな研究室のよさは、教員による指導が行き届くところかと思います。テーマを独り占めでき、様々な技術にチャレンジできる可能性もあります。大きな研究室では分業体制になってしまっているかもしれません。

とはいえ、研究室はそれぞれ。規模だけでなく、雰囲気やメンバーの多様性など、いろいろな要素があります。大学院へ進学を希望している方は、是非研究室を訪問して確かめるのが良いかと思います。

動物多様化の背景にある細胞システムの進化に興味を持っています。1) 形態形成に重要な役割を果たす細胞間接着構造(アドヘレンスジャンクション)に関わる進化の研究と、2) クモ胚をモデルとした調節的発生メカニズムの研究を行っています。