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研究館より

ラボ日記

2025.10.15

学会は、研究者のお祭り

4月に研究室を立ち上げてから、気づけばもう半年が過ぎました。この間、学会、研究会、領域会議など、全国さまざまな場所で研究成果を発表するたくさんの機会に恵まれました。たまに知り合いからは、出張で色々なとこに行けて羨ましいわあ、などと言われることもありますが、実際には、学会出張時には学会会場とホテルを行き来するだけですし、学会が終わればすぐに帰路につくのが常です。それでも、学会に参加するということには、研究者にとっては大きな意義があるなと私は感じています。

「学会」と聞くと、メガネをかけた偉い学者先生が集まり、難解な専門用語が飛び交う堅苦しい場という印象を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。でも実際には、我々研究者にとっては(少なくとも私にとっては)、学会というのは、自分がどういう事を考え、どんなアプローチで研究に取り組み、どんな面白い発見をしたのか?についてアピールする絶好の場です。発表が上手くいき、大盛況となったときには、人を感動させることもでき、自分が続けてきたことは間違っていなかったなと思える、かけがえのない瞬間に出会えます。

また、同じような興味を持つ研究者と、じっくりディスカッションを重ね交流を深め、これがきっかけで新たな共同研究へと発展することも少なくありません。日常生活では、初対面の人と意気投合し、今度一緒に飲みにでも行きましょうなどと仲良くなったりすることはそうそうないと思いますが、こういった研究成果の発表を通じて生まれる研究者同士のつながりは、アカデミックの世界ならではの醍醐味であるなと感じています。

さらに、他の研究者の面白い発表、レベルの高い発表を聞くことで、良い刺激をもらえますし、自分ももっともっと頑張らねばと気合いを入れなおす気持ちにもなります。
忙しい時期でも、学会に参加してよかったなと思える理由が、そこにはたくさん詰まっているのです。

さて、日本の生命科学研究分野で恐らく最も規模が大きい学会は日本分子生物学会ですが、今年の12月にパシフィコ横浜で開催される第48回日本分子生物学会年会では、九州大学の熱田勇士先生とともに、“ほねほねロック ~さまざまな動物が奏でる多様な骨格形成~ Hone-Hone rock: The diverse skeletogenesis orchestrated by various animals”というシンポジウムをオーガナイズします。このシンポジウムでは、鳥類・魚類・哺乳類などの脊椎動物から、カイメンやショウジョウバエなど無脊椎動物まで、幅広い生物種が示す様々な骨格形態形成メカニズムを細胞レベル・分子レベルで明らかにしようと研究を展開されている先生方にご登壇いただき、最新の成果をご紹介いただく予定です。

今年最後の学会となる本シンポジウムでは、他の先生方の貴重な研究成果を拝見できるのも楽しみですし、学会を盛り上げることに少しでも貢献できるよう、じぶんも一人でも多くの人に刺激を、そして感動を届けられるような発表ができたらなと、密かに燃えているところです。

黒田純平 (室長)

所属: 形態発生研究室

色々な生物の形態形成に興味を持っていますが、主にゼブラフィッシュを研究材料として、細胞がコラーゲンの構造体との相互作用を介して構築する身体の形態形成原理を解き明かそうと研究をしています。