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中村桂子のちょっと一言

館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。

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【ちょっとした冒険】

2002.5.15 

中村桂子館長
 大型連休も終わり、気を引き締めましょうという時期ですね。どんなお休みでしたか。いつものことながら始まる前はあれもこれもと思っていたのに毎日バタバタしているうちに終わってしまいました。バタバタする内容がいつもと違っていただけで相変わらずです。
 昨年の今日「ミツバチマーヤの冒険」として、初めてハチの分封を見た話を書きました。これを知った奈良県川上村の川上東小学校の新子谷(あたらしだに)先生がせっかく分かれるのならそれをこの中に入れて観察しなさいと言って木の巣箱を送って下さったのです。先生はギフチョウの研究やニホンミツバチの飼育を教育の中に取り入れている方です。ニホンミツバチは刺さないし、とても可愛いのにハチというと嫌われてかわいそうと、ハチ愛好者を増やすことに情熱をかたむけているのです。そんなこと言われても、今年もまた分封に会えるかどうかわからない。実をいうと、巣箱は空のままになるだろうと思っていたのですが、5月3日の朝、草取りをしていたら頭の上をハチの大群がブンブン飛び始めました。去年は藤棚に大きなボールを作りましたが、今年はその隣の桜の幹にかたまりました。桜が好きなのだそうです。先生の指示は、かたまりを手で抱えて箱に入れるように。分封中のハチは決して刺さないからと言われ、専門家を信じて実行です。と言っても実行したのは家人、私は下で箱のふたを開けて入ったら素早く閉める係でしたが。先生からは巣を作りやすいように、牛乳パックに蜂蜜を入れて置いてやるようにとの次の指示。巣作りには蜜が必要なのだそうです。ハチから蜜をもらうのではなく与えるのも変だなと思いながら…。しばらくして見に行ったら、まわりにアリがいっぱい。そうだよな。アリが見逃すわけはない。ここも小さな自然界。ハチだけということはないのだと、またまたあたりまえのことを学びました。
 食べ物を与えたり、住むところのお掃除をしたり、散歩に連れ出したりする必要はまったくない。放っておけば自前で生活してくれるのでいつもは留守をしている私にはピッタリかもしれませんが、慣れない生きものとのおつき合いがうまくいくかどうか。新子谷先生からは毎日電話でのチェックが入り、こちらはバタバタ。バタバタの一つはこれでした。

10:55
蜂の群れが飛び交っているのに気付く。藤棚に近づく気配に巣箱を移動。
11:01  藤棚の隣の桜にコロニー形成。
〜12:30 一部づつ5回掬って箱へ
12:43  小さなコロニーが残ったが・・
13:03  しばらくすると箱の仲間と合流?いなくなった
13:17  こんな家です。
14:33  出入りするミツバチたち


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