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中村桂子のちょっと一言

館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。

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【今年を振り返り、来年を考える】

2006.12.15 

中村桂子館長
 今年も最後になりました。月並みも月並み、これ以上月並みの言葉はないと思うのですが、月日の経つのは早いもの、とくに12月に入るとどんどん日が過ぎて行きます。大学院の学生さんも“早いなあ”と言っていましたから、年を重ねたからだけでもなさそう・・・社会の仕組みでしょうか。
 時が流れていく時、やはり少しづつよくなるという実感がないと楽しくありませんよね。おかげさまで、「生命誌研究館」の活動は、それなりに着々と積み上げられているという感じがあり、ありがたいなと思っています。具体的に言うと、研究館の仲間たちの考え方や仕事のしかたが、一つの組織としてのリズムを持ち始めたという気がするのです。日本の社会全体では勝ち組、負け組という品のない、また意味のない言葉が横行しており、大学を見ていても、長い眼でものを見る大らかさに欠けた仕事ぶりが目立ちます。競争は結構。でも本当に大事なことは何かを考えたうえで、誰にも負けないことをやろうとするための競争でなかったら、そこで勝ったからと言って何の意味があるのだろうと思うのです。そういう競争は害あって利なしという気がして、とても無駄なことをしているのではないかと心配です。
 大事なことは何か、面白いと思えることは何か。研究館としてはやはり、“生きているを見つめる”というところに基盤を置く。相変わらずですけれど、これに勝るテーマはないというのが実感です。皆が提出した計画を眺めながら、来年度の計画をまとめ、これまでの積み重ねを更に伸ばすことに加えて、新しいこととして何ができるだろうと考えているところです。外からのご提案も歓迎です(あまり大きなことはできませんけれど)ので、よろしくお願いいたします。実は日曜日(12月10日)近所の方たちと一足早いお餅つきをしました。大根おろし、あん、きなこ、ごま・・・つきたてのお餅はどうやっていたゞいてもおいしいですね。少し食べすぎたかも。よいお年をお迎え下さい。


 【中村桂子】


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