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ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【ミニミニ博物館】

山口真未

 四月の終わり、大阪大学で「いちょう祭」というお祭りがありました。私は、生命誌研究館が連携大学院となっている理学研究科の研究室紹介の展示に、解説員として参加しました。各研究室が工夫して紹介のポスターをつくっているのですが、中高生や一般の方には難しそう、それを少し説明して回る役目でした。一方、生物学科のもう一つの展示として、実験動物や海の生き物などを展示している部屋がありました。こちらの方は小さい子供たちにも人気の様子。やっぱり、いきものって見ているだけでも楽しいですよね。そのなかで、お客にまじってふらふら眺めていてふと目に留まった、一冊のファイル。中には色鉛筆で一つずつ大きく花の絵が描いてありました。動物園や水族館、植物園など博物館の類が大好きな私ですが、詳しい解説よりも、眺めて感じられる「きれい・おもしろい・愛らしい」ことに重点をおいてしまいがち。そのファイルも「絵がうまいなあ、きれいだな」程度にしか眺めていませんでした。そこに、そのファイルの制作者が現れました。聞くと、すべて大阪大学のキャンパスに咲いていたもので、前日に徹夜で描いたそうです。不思議な形をした花があるけど、これは蜜を吸いにやってくる虫が、出ていくときには花粉をつけるけど、入ってくるときには自分の花粉を自分の雌しべにつけないような形になっているんだろう、とか(実物がお見せできると良いのですが、花の名前は忘れてしまいました)、花水木の、花のようにみえるところは実は葉っぱで、雌しべとか雄しべのようにみえる部分が本当の花なんだ、とか、いろんなことを教えてくれました。図鑑や本を読めば書いてあることかもしれないけれど、人を通して聞くと、その人が面白いと思っていることが伝わってきて、普段自分では興味を持たなかったことも発見した気分になって、大変お得でした。見る人に任せて自由に楽しむことも、とても大事なことですが、展示などつくっている人の、伝えたい気持ちが分かるコミュニケーションも、素敵だなと思いました。



[脳の形はどうやってできるのラボ 大学院生 山口真未]

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