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ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【貴船川での採集】

佐々木剛

 先月、京都の貴船川にムカシトンボの採集に行ってきました。その日はトンボをはじめ、様々な昆虫に詳しい横田裕さんが案内をして下さることになっていたのですが、私はその前日に体調を崩してしまいました。最近にはめずらしく高めの熱が出てしまい、採集には院生の石渡君も行くので、私は体調が戻らなければ休むことも覚悟していました。しかし、やはり私も採集に参加したいとの思いが通じたのか、幸いにも当日には熱が下がり、元気な状態でとはいかないながらも採集に行くことができました。現地までは駅から歩いて一時間程度あり、ずっと上り坂ではじめは少ししんどかったのですが、トンボや蝶などを目にしてからは体調のことなどすっかり忘れ、夢中で網を振り回していました。
 実は以前にも貴船には蝶(カラスアゲハ・ミヤマカラスアゲハ)の採集に来たことがあります。そのときは目的のチョウを発見することの方が難しく、見つけさえすれば高い確率で捕まえることができました。今回はそのときとは対照的で、ムカシトンボはとてもすばしこく、たくさん飛んでいるのになかなか捕まえられませんでした。当日は幸運にも非常に多くのムカシトンボが飛んでいて、そのうちの何頭かを採集することができました。時間帯によっても敏捷性が変わり、夕方ちかくになると、ほとんど採集不可能なほどすばやく飛びまわっていました。
 そのほかの昆虫も採集しましたが、そのなかでも特筆すべきなのはウスバシロチョウを一頭採集することができたことです。この蝶は貴船よりもう少し北の花背などで見ることができるのですが、近年貴船では見かけたことがないと横田さんからお聞きしました。
 採集を終えるとさすがにくたくたになって、帰宅後ぐっすり眠り、その後は体調もすっかり良くなりました。外に出ての昆虫採集の楽しさを改めて実感した一日でした。


[DNAから共進化を探るラボ 研究員 佐々木剛]

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