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ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【先日のBRH公開セミナーについて】

小田広樹 先日、12月3日にBRH公開セミナーがありました。東北大の田村宏治さん、名古屋大の新美輝幸さん、大阪大の西野敦雄さんに生命誌研究館にお越しいただき、一般の方々とともに楽しい時間を過ごさせていただきました。生命誌研究館としましては、第一線の若手研究者と一般の方が身近に交流できる場が作れればと考えていましたが、参加されたみなさんが積極的に関わっていただいたおかげで、その目的は十分に達成できたと思います。
 今回のセミナーの全体を通して、研究者それぞれの知的好奇心が原動力となって様々なユニークな研究活動が行われていることが共有できたと思います。第一部では田村さんが、ニワトリの“手羽先”にある3本の指が人間の5本の指のどれに相当するかを証明した最近の研究成果を丁寧にわかりやすく話されました。「発生生物学者の常識が覆った」というお話に加え、「鳥の起源はやはり恐竜だった」という証拠が示されて、多くの方が人間の知識が前進したのを肌で感じたことと思います。
 第二部の「新たなモデル生物の開拓者たち」と題した討論では場内からもいくつかの質問が出ました。特に、新たなモデル生物を使った研究の継承・継続性についての質問は重要だと思いました。この問題に関連して、当事者として自分に言い聞かせいていることは、「自分の直感を信じ、保守的にならずに深く前に進め」です。それぞれのモデル生物は、積み上げるに値する新しい知識を発見できる可能性があるかが常に問われます。チャレンジングに前に進み続けることで、新しい課題を次から次へと見出し、魅力を持続・拡大させていくことが大事だと思います。ショウジョウバエや線虫はそれを実現してきたモデル生物です。これからのモデル生物でも研究者の努力としては同じことだと思います。
 今回の公開セミナーは、外部の研究者と一般の方が交流する機会をもった点で新しい試みでした。このような形での生命誌研究館の貢献も今後継続できたらと思います。
第一部
第一部 田村さんのお話
第二部
第二部 討論会の様子


[ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろうラボ 小田広樹]

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