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ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。

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両生類研究施設

2013年9月2日

少し前のことになりますが、6月半ばまで半年ほど広島大学の両生類研究施設で実験をやらせて頂きました。この施設は、世界に類のない種々の両生類の繁殖・維持を行っている施設で、1つの建物でカエルやイモリなどの両生類(+エサのコオロギ)だけを飼育しています。最近では“スケルピョン”という皮膚が透明で内臓が透けて見えるカエルの作製で有名になりました。ここで維持されている両生類の繁殖シーズンにお邪魔し、産卵した両生類の卵を順に実験に使わせてもらったのです。

私は今までアフリカツメガエルやアカハライモリの卵を使って実験してきましたが、それ以外の両生類を扱うのは今回が初めてでした。種によって卵の大きさもいろいろなら、色も真っ白なものから真っ黒なものまであり、常に見るものが新鮮で次にどんな卵が来るのかワクワクしました。特に印象的だったのが卵を覆い保護しているゼリー層の違いです。ヒキガエルの卵はうどん状に長く連なっていて、アオガエルの卵は泡々のクッションに包まれ、アカガエルの卵は弾力がありつつ固いしっかりした層に守られていました。このゼリー層が実験をする上ではちょっと曲者で、卵に直接触れるためには何とかして取り除かなくてはいけません。薬品で一度に除去できるものは楽なのですが、ものによっては1つ1つピンセットで丁寧に取らなければいけないものなどいろいろで、ゼリー層除去が第一の難関になっていました。

そんなこんなで半年間、試行錯誤しながらもデータを取らせていただきました。両生研には春から秋にかけての平日、飼育しているカエルやイモリ・サンショウウオなどが見られる展示スペースもありますので、興味のある方は行ってみてください。最後に、自分の研究室のメンバーのように温かく迎えてくださり、実験をサポートして頂いた両生類研究施設の皆様に心から感謝いたします。

アズマヒキガエルの卵アズマヒキガエルの卵

ヤエヤマアオガエルの卵ヤエヤマアオガエルの卵

[ カエルとイモリのかたち作りを探るラボ 西原 あきは ]

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