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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【つながり】

加藤史子
 私は今、4月に研究館グッズとして発売予定の「ワークブック」の作成と、こちらも4月にオープン予定の展示の一部「アポトーシスパネル」の制作に取り組んでいます。SICPセクターに入って10ヶ月。振り返ってみていちばんの感想は、「つながっている!」というものです。
 入りたての頃には、それまでパソコンの描画ソフトを使ったことがなかったために、他のスタッフに訊かないと1本の線を曲げることすらできなかった私が、「イラスト版サイエンティストライブラリー」で5枚ものイラストを描くうちに自然とある程度自由に使いこなせるようになり、もちろんそれはその後のあらゆる場面にいきてきたのですが、その時、5枚のうちの1枚に「細胞がアポトーシスで死んでいく様子」を描きました。イラストを描こうと思うと、1枚のイラストのためにでもいろいろと調べなければなりませんでした。その時の経験は確実に、今やっている「アポトーシス」の展示制作につながっています。
 また、館内の展示案内ができるようになるために何度も繰り返して展示を見たことや、案内した来館者のみなさんの反応を見られたこと、サマースクールなどのイベントで参加者の声を直接聞けたことなどは、すべて「ワークブック」につながっています。
 つながっているのはもちろん自分の中だけではなく、SICPに入る以前にお世話になった先生方に展示制作で助けていただいたり、研究していた頃に聞きかじった専門外の知識でも役に立ったり、数え上げればきりがないほどたくさんの「つながり」を感じています。
 まあ、有り体に申せば、「いろんなことがつながるように仕事を振ってもらった」ということに尽き、感謝することしきりなんですけれども、とにかく、自分が経験するほとんどのことは無駄にはならないんだと実感できたのは大きいです。そして、SICPで得られる様々な経験が、その後につながっていくであろうことも確信しています。
 しかし、締め切りギリギリセーフを何度も経験し、次こそは余裕を持ってやろうと固く誓ったはずなのに、とうの昔に火がついて今やメラメラと燃えさかっているこのお尻の炎は何なのでしょうか。「ま、つながらないこともあるわなー」とつぶやきつつも、腹をくくって「ワークブック」に取り組む2月の私です。



[加藤史子]

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