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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【90度の方向転換】

板橋涼子
 皆様はじめまして。SICPのメンバーとして、科学を表現する現場に飛び込んで2ヶ月・・・。一日はあっと言う間に過ぎてしまうのに、この2ヶ月間はとても内容が濃く、充実した毎日を過ごしています。頻繁に失敗という穴に入ってしまうのですが、それを地道に埋めて同じ穴には二度とはまらないように努力している毎日です。
 以前、生物系の分析業務をやっていた私。実はサイエンス・コミュニケーションという存在を全く知りませんでした。毎日、コツコツと分析業務をしている中、サイエンス・コミュニケーションという文字が偶然に目の中に入ってきたのです。科学を表現するってどういうことなの?実際にどのようなことをするの?期待と不安が交錯しながら、JT生命誌研究館のホームページを調べていくと、「すごい!おもしろいことをやっている!」その地点で、私の人生の方向が180度まではいかないにしても、90度(生きものが対象であることは以前と同じなので)は変わったと思います。サイエンス・コミュニケーションの仕事に携わりたいという動機は、仕事以外の人生経験が少なからず影響したのだと思います。
 私は、幼い頃から絵を描き、音楽を演奏するといった芸術分野がとても好きで、今でも社会人のウィンドオーケストラでサックスを吹いています。吹奏楽は、聴衆に感動を与えることがもちろん大事ですが、自己満足の世界でもあります。厳しい練習を努力して頑張った分、美しい旋律になり、ハーモニーも作れます。「あぁ、自分は頑張った」という自画自賛をしてしまうのです。サイエンス・コミュニケーションも、見る人に感動を与えることが大事ですが、作る側の自己満足も多いにあると感じました(SICPの皆様を見ているとすぐに分かります)。感動を与えることと、自己満足。私はそこに共通性を見い出したのです。
 少しでも方向を変えると人生は異なった方向へ進んで行きます。始めの角度が大きければ大きい程、人は慎重になってしまいますが、結果的には同じこと。どうせなら思いっきり回れ右をしてみて、新しい世界を覗いてみようと思ったのです。90度の方向転換を大事にして、「やっていて良かった!」と思えるような物作りをしてみたいと思っています。これからもよろしくお願いいたします。


 [ 板橋涼子 ]

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