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中村桂子のちょっと一言

館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。

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【今週の体験は】

2002.2.1 

中村桂子副館長
 10年という年月は一区切りだとつくづく思います。
 生命誌を「知」として組み立てていく作業の第二段階に入っていますので勉強することがたくさんあります。
 研究館活動も新しい展開をしたくなっているので、アイディアや方法を皆で話し合ったり、具体的なものづくりをしていく必要があります。
 社会と直接つながる活動、他の分野との共同での活動もますますふえてきています。
 新しいメンバーには、生命誌のコンセプトを理解し、それを具体化していく仲間として活躍してもらうためにこれまでのことを伝えなければなりません。
 ですから昨日と今日でまったく違うことをやっているように見える時が少なくないのですが、生命誌という切り口でつながっていますので、それを一つのまとまりにしていくのが仕事です。“ちょっと一言”もこれらの活動のある一片を記すことになりますので、今回はこの辺だなと思いながら眼を通していただければ幸いです。というわけで、美術の次の今回は、「農業」です。今週は農業の勉強をしました。生命誌の見地からは、21世紀の産業として面白く、また重要なのは農業だと思います。
 まず、「食品リサイクル法」が施行され、生ゴミや賞味期限切れで捨てられる食品を堆肥に変身させる技術開発がみごとに進んでいるのにびっくり。さまざまな企業や自治体で使われ始めている様子を知りました。大手企業退職後、未来の社会のためにボランティア精神で開発に取り組んでいるというお話も印象的でした。農水省でこの法律制定に努力した課長さんが、「2年前は大事な農地にゴミを入れるなんてけしからんということだったのが大変革です」と話され、結局考え方なんだとも思いました。
 もちろんいろいろ問題も抱えていますが、魅力的な第一歩だと思います。もう一つは明日香村(奈良県)の体験で、これも印象深いことの連続でしたが長くなりますので、いつかまた。


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