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ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【研究者とネットワーク利用】

阿草耕介
 研究者向けPubMedデータベースの利用を助けるOlogeezTechCrunch 2008年7月16日記事より)

 ここで紹介されているOlogeez!というWebサイトは、論文検索データベースサイトであるPubMedを利用して、

・論文に対するコメント
・論文の評価
・利用ユーザー間でのコミュニケーションツール
などのサービスを提供しています。これは、日本ではmixiに代表される「ソーシャルネットワーキングサービス」やdel.icio.usはてなブックマークなどの「ソーシャルブックマーク」といった、インターネット上でのグループセッションや各種情報を共有化することで効率的に蓄積していくサービスを研究者の世界に持ち込んだWeb2.0サービスと言えます。

 生活の大半をラボの中だけで過ごす研究者にとっては、別の研究機関とうまく連携を結ぶのは中々に難しいことと思えます。サイエンスコミュニケーションというと「研究者⇔一般の方々」というイメージが大きいですが、実のところ「研究者⇔研究者」間のコミュニケーションを考えることも非常に重要で、自分たちの見方とは異なる見方を取ることで新しいブレークスルーが生まれることも多々あります。

 例えば自分の場合「アフリカツメガエルの胚発生を3次元的に再現する」という研究テーマでも、どれだけの方がこの研究のことを知り、また興味を持ってくれるかはわかりません。もしかすると、全く別の分野で自分では到底思いつきもしなかった方法で同じような研究をされている方もいらっしゃるかもしれません。
 ここで、Ologeez!のようなWebサービスを介することで、他分野の方からアドバイスを頂いたり、共同研究を進めると言ったことも非常に簡易になろうと思います。

 さらに注目したいのが論文に対してコメントを通して議論ができる点です。これまでは論文は掲載された雑誌社の評価、引用件数によって評価されてきましたが、直接論文に対して「この着眼点は無かった!」、「このデータ怪しいぞ…」と言ったコメントを気軽に残せるのは、投稿した側にとっても有意義に感じます(ここまでフランクになるかはわかりませんが)。

 現状ではアメリカ国内の大学や教育機関以外では利用できない状況ですが、是非日本国内でも利用できるようになればと願います。そしてより効率的に研究を進めることができれば、サイエンスのオープンソース化も夢ではないのかもしれません。



[脳の形はどうやってできるのかラボ 阿草耕介]

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