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ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【食べてしまいたいくらい好きです。】

2014年2月17日

和智 仲是

小さいときからあなたが好きでした。忘れもしないあなたとの最初の出会いは、小学校のときで場所は通学路(にあったドブ川)でした。こっそり盗み見したあなたの横顔(石垣の隙間からニョロと見えていました)は麻生久美子さんの次に美しくて、今でも僕の目に焼き付いています。そして、あなたは漫画にでてくる好きなキャラクターのお母さん役でもありました。そんなあなた(ウナギでした)のことが気になって、休みに「ウナギシンポジウム」なるものに参加し、「うな丼の未来」という本を読みました。

最近いつウナギを食べましたか?僕はたしか数年食べていません(ただ単に金銭的な問題もあるのですが)。あえて「食べないぞ」と思うようになったのはウナギが絶滅危惧種(アマミノクロウサギ・イヌワシ・ライチョウ・ヤンバルテナガコガネと同じ階級)に指定された一年前からです。お話を聞いて本を読んでなんとなく分かったのは、ウナギを食べたい・でも守りたい・じゃあどうするのか、というのはいろいろな立場があって簡単じゃないという単純なことだけでした。自分一人が「食べないぞ」と思って蒲焼き屋さんに行かなくても毎日ウナギが浪費されていくのは変わらないのだ、という太宰治の諦めのような気持ちがしました。そして、何よりも驚き、反省したのは「売られているウナギは野生生物」ということを今まで考えもしなかった自分がいたことでした(お話や本にあったように、例えばイヌワシの親子丼・ライチョウの焼き鳥と言われると、かなりギョッとするのですが)。「うな丼」と聞くだけでもギョッとできるようになるには何がどうなったらいいのか、もう少し勉強して消費者として、生き物を研究する者として、自分なりの答えをそれぞれ出そうと思いました。それまではまだ「食べないぞ」

[ DNAから進化を探るラボ 和智 仲是 ]

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