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ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。

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2014年5月1日

佐々木瑞希

暖かくなりましたね。楽しい季節です。

突然ですが、4月いっぱいでBRHを去ることになりました。実験室見学ツアーや研究員レクチャーに来てくださった皆様、本当にありがとうございました。今日のラボ日記は私のひとり卒業文集ということにして(勝手にですが)、10年後に読み直したときに夢が叶っているように頑張りたいと思います。

BRHに来てから見るものは新しいことばかりで、わずか2年とは思えないほど濃密な時間を過ごすことができました。ショウジョウバエの遺伝学や発生学、オオヒメグモのRNAiなどの技術、次世代シーケンサーを使ったカドヘリンの同定、小田さんが口を酸っぱくして何度も言っていた『ロジック』・・・学ぶのに2年では短すぎます。ですが何とか、オオヒメグモやフナムシのカドヘリンをゲノム構造から比較解析し、分子に段階的な欠失が生じ、短くなる方向へ進化してきたことが分かりました。これを論文として世に出すべく、引越し先でもまだ悪戦苦闘が続きそうです。

私たち奨励研究員は、自分だけのオリジナルな研究をすることを夢見て、いつも誰かから何かを盗もうとしています。小田さんと秋山さんの斬新な発想と溢れる情熱を浴びて日々を過ごしたのですから、私もこっそりいろいろ盗みました。今(35歳)の私の夢は、大人になったら自分の独創的な研究を自信に満ち溢れた表情で披露することです。

初めてのラボ日記にも書きましたが、私は節足動物が媒介する寄生虫について興味をもち、研究をしてきました。カドヘリンの研究結果から考えてみると、進化の過程で寄生虫と節足動物の相互関係においても大きなイベントが起こり、マラリアと蚊、バベシアとマダニのような宿主と寄生虫の仲良しカップルが生じたのかもしれません。今後はBRHで学んだ考え方や技術の全てを寄生虫学の分野で思いきり応用していきたいと思います。しかし最近、私があまりに何でも忘れてしまうことに、小田さんが呆れています。だ、大丈夫ですよ、頑張ります!

[ ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろうラボ 佐々木瑞希 ]

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