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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

バックナンバー

【バックナンバー 】

1998年9月1日

 8月も終わり、9月の新学期が始まりました。
 さて、みなさんは、この夏をどんなふうに過ごされたでしょうか。
 私たちBRHのコミュニケーション部門では、相変わらず「なんとなく忙しい」モードになっていて、どうも夏らしい気分になれなかった、というのが正直なところ。ちょっと前の表現スタッフ日記に高木も書いていたように、季刊「生命誌」の制作に加えて、10月からの新展示「チョウの翅が語る生命誌」や、同じく10月公開予定のハイビジョンの新しい作品、インタラクティブラボの新しい作品「DNAの働き」(来年4月公開の予定)などなど、いろんな事業がどんどん動いています。(そう、今年の10月にはホールの雰囲気がちょっと変わるはずです。)
 おかげで、情けないことに私はちょっと夏バテ気味。実は、まもなく1歳になる娘がとんでもなくやんちゃで、毎日家に帰ると相手をするのが大変というのも、バテている理由の一つかもしれないのですが。
 でも、そんな中で楽しいこともありました。8月の初め、フィンランドの新聞「Helsingin Sanomat」(フィンランドで最も発行部数の多い新聞らしい。)の科学記者の人から突然連絡があって、「生命誌絵巻を記事の中で使いたいので許可してほしい。」というのです。生命誌絵巻とは、このホームページの一番最初に出てくる扇形の絵のことで、進化の歴史を芸術作品として描いたものです。
 詳しく聞いてみると、「生物の多様性について文章を書いていたとき、たまたま社内のだれかの机の上にきれいなポストカードがあった。ひっくり返して見たら日本語が書いてあったので、同僚の奥さん(日本人)に助けてもらって連絡先を探しだした。」というのです。つまりその記者は、生命誌研究館のことはよく知らないままに、生命誌絵巻に興味を持ったらしい。
 このBRHでしか作っていない生命誌絵巻のポストカードが、どういう経路でHelsingin Sanomatのオフィスにたどりついたのか、今もってわかりません。とにかく、結果として8月8日の土曜日、科学版として折り込まれている紙面(欧米では、土曜版や日曜版に、科学・芸術・生活などの特別版がたくさん折り込まれます。)の表紙(1面)に、生命誌絵巻がでかでかと載りました。残念ながら記事の内容も絵の説明もフィンランド語なので、BRHには読める人がいない(だれか読める人があったら連絡してくれませんか)のですが、おそらく何万人もの人が生命誌絵巻を見たのは確かで、地球の反対側で私たちと全然関係のない人達があの絵を楽しんでくれた(だろう)と思うと、とても楽しい気分になりました。
 送ってもらった新聞の他の部分を見ても、写真や絵の使い方がとてもセンスが良く、スタッフのみんなで、「なんだか日本の新聞よりきれいだね〜」などと偉そうなことを言っておりました。日本の新聞も生命誌絵巻を1面で使ってくれないかな〜。
[加藤和人]

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