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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【アメリカの研究はなぜすごい?】

工藤光子
 分野によるのかもしれませんが、生物の研究では、今やアメリカはすごいということになっています。
 私は個人的にはたいそうなアメリカ嫌いですし、留学経験もないので、なんでそんなにすごいのか今ひとつピンとこないのです。
 テクニシャンなどが豊富にいて分業がしっかりしている、ボスと忌憚なくディスカッションができる、などの理由はよく聞きますが、前半部分は日本でも少しづつ改善されてきていますし、後半は留学してそう思った人がもはやボスになっている時代なのに、それが改善されないのならば、それはボスの個人的な責任だよなぁ〜などと思っているので,こちらにいる間は良い機会。なぜそんなにスゴいのか自分なりにふーんなるほどねぇと思えるポイントを探しています。
 その一つ?〜日常から
 こちらでは日常の些細な事でも、一つ一つまるで相手を信用していないかのように自分で確認しなければなりません。
 こちらで生活しようと思うと、それはもう細かいところまで徹底して必要とされます。
 他人がやった事をあらためて自分が確認するなんて時間の無駄だし、人がたくさんいる意味がないというか、、。
 しかも相手を信用しないなんて、なんだか失礼な気がすると、私はちっともなじめません。
 一方、研究の世界の人々と言えば、論文を読む際にも、掲載されたデータを疑うというか確認しているのです。似てますよね!
 アメリカの人たちは研究者でなくても、四六時中、それをとても自然に行っています。こりゃぁ敵わないよなぁと私なりに納得したポイントの一つです。実は、納得した後に、疑うのと確認というのをはき違えているのは私?という事に気づきました。そうです、きっとこの微妙な差を理解しないといけないのでしょうね、、。やはり、日本人の感覚では難しい気がしますが。

 私事ですが、アメリカで7月2日に男の子を出産し、今は子供と毎日引きこもり育児生活をしています。
 私はBRHで馬車馬のように働き(働かされていたのではなく、自ら進んで)、出産をした友達とは縁遠く過ごしてきました。そのおかげというべきか、育児の大変さに思いを巡らす事なく、育児本番に突入。天動説が地動説になったような価値観の変化に自分でもまだ整理がついていない状況です.女性の家庭と社会といったような問題に、「ヒト」としての役割と「人」としての役割という側面を加えて深く考える今日この頃です。SICPとは少しずれるのかもしれませんが、長い事考え続けるテーマなんだろうなと思っています。



[工藤光子]

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