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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【私の仕事 その2】

山岸 敦
 前々回(1月5日の日記)に続き、今回は季刊生命誌ジャーナルの記事で、今年度から新しく担当することになった "Research" の編集についてご紹介します。
 発行までのスケジュールはサイエンティスト・ライブラリー(SL)とほぼ同じなのですが、 大きな違いは、SLがインタビューを編集部で再構成した記事であるのに対し、Research は研究者に依頼した原稿がもとになっているところです。取り上げたい研究者が決まったら原稿を依頼し、取材のアポを取ります。電話やメールのやり取りだけで済ませることも可能ですがやはり一度お時間をいただいて、研究を始めたきっかけや今考えていることをじっくりと伺い、その他雑談などをすることが実はその後の作業には重要となってきます。
 原稿をいただいてからの作業は、私の場合大きく2つに別れます。まず原稿を熟読し、自分が研究内容をちゃんと理解できているか、取材の時にわかったつもりでいたことに間違いがないか改めて考えます。そして、もし読者にはわかりにくいと思われる言い回しや専門用語があった場合、あるいは原稿には書かれなかった研究のエピソードを記事にも盛り込みたいと思った時は、取材を思い出して原稿を加筆・編集します。この作業は、単に研究者の記事をやさしく書き直すというよりも、頭の中でもう一度架空インタビューを行い、私が感じた研究の面白さや研究者の雰囲気を読者に追体験してもらうには実はどういう原稿依頼を行えばよかったかと、再考する過程と言った方がいいかもしれません。こうして編集した原稿は、SICPディレクター(館長)の厳しいチェックを経て、最後に著者にご確認をお願いすることとなります。これが、生命誌ジャーナル記事としてwebにアップされるものとなります。
 これと平行して行うのが、生命誌カード用の記事の編集です。カードは印刷物ですので、web記事よりも締め切りが1ヶ月ほど早いため実はこちらを優先して作業することがしばしばです。カードの特徴はなんと言っても、15 cm×15 cmの1枚のオモテウラでどう研究を「表現」するか。テキストの前後関係やイラストの配置など、デザインをお願いしている坂さん(デザイン事務所『図工室』)との共同作業です。今年度の試みは、Research記事の1つのオモテ側を、「ツボ」と称する明確な導入場面としました。オモテを読んでしまったら、ウラが気になって仕方がない、、、。そんなカードを目指しています。
 ところで、今年のサマースクールのSICPテーマは、「生命誌カードを作ろう - 研究の魅力を1枚に込める」。北は北海道から南は九州まで、大学院生の方を中心にたくさんのご応募がありました。皆さんと一緒にカード作りを考えるのを、楽しみにしています。


 [ 山岸 敦 ]

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