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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【「いよいよ」だけに】

2015年4月1日

平川 美夏

BRHカード「つむぐ」はお手元に届きましたでしょうか。今年から3月が一年の最初の号になりました。「うつる」をテーマにした2014年はそのとおり過渡期で、ちょっと中途半端に3号の発行となりました。実は、その前年の「ひらく」も開館20周年に79・80号合併号としたので年3回発行でした。今年は久々の年4回発行になります。さて、動詞で考える年間テーマは意識しつつも、柔軟に解釈して記事を決めますが、1年を通してシリーズを考えねばならないものがもう一つあります。カードのお楽しみ、紙工作です。これが3回というのは考えやすいのですが、4回はなぜかぐっとハードルがあがるのです。

BRHカードのデザインを担当している坂啓典さんはペーパーエンジニア、ペーパークラフトの専門家です。作って楽しいだけではなく、作りながら生きものを考えて欲しいという生命誌のこだわりをBRHグッズで人気のやじろべえ、共生をテーマにしたモビール、生きもの紙飛行機、ぱらぱらマンガとさまざまな形式で実現してくださいました。紙を素材に、作って眺めて楽しみ、生きものの面白さが伝わるという3拍子をなにで表現するか、年の始めはもう考えに考えます。「うつる」の年は、向こう側が「写る」フィルムやトレーシングペーパーを使いたいと凝ったことを考え過ぎて、熱心に相談に乗って下さっていた坂さんがついに「たまには普通のペーパークラフトを作りたい」とぽつり。その一言でお得意のからくりをいかしたペーパークラフトに決めました。

からくり古生物は、今はもういない生きものの復元イメージと動きですので想像が膨らみます。作って動かしたとき「なるほど」と思ってほしいから、坂さんとの打ち合わせでも自分でネメグトマイアになりきって身振り手振りで説明し、パラケラテリウムは足の太さや角度と細部のバランスにこだわって作りました。坂さんが存分に腕をふるった作品は迫力満点です。

そして今年は擬態する生きものがテーマです。中村館長からのメッセージでも「いよいよ擬態です」と紹介されていますが、擬態に挑戦は2回目で、「チョウの擬態カレンダー」がカード形式になって2年目の2003年「愛づる」で登場しています。チョウのカレンダーは人気で、いまだにパソコンの横などに飾ってくださっているのを見かけます。そこであやかって今回もカレンダー付きです。4回乗り切れますように。次は何が真似るでしょう。お楽しみに。

立てて飾るとすこしコンパクト。カレンダーはBRHへの来館案内になっています。カレンダーが終わってもカットして飾ってね。

[ 平川 美夏 ]

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