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表現スタッフ日記

展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【ナナフシと上手に遊ぶには】

2017年6月15日

齊藤 わか

去る6月3日、「節人先生と<いのちの響き>を 〜長岡京室内アンサンブル in 生命誌研究館〜」の催しを、無事終えることができました。ご来場の皆様、ありがとうございました。さて、実はこの催しに合わせてひっそりとリニューアルされた展示があるのですが、ご来場の方はお気づきになったでしょうか。当館の人気者・アマミナナフシたちの展示ケースです。岡田節人先生がナナフシに込めた思いは、季刊生命誌3号の「ナナフシ-この愛すべき奇妙な昆虫-」に綴られており、枝そっくりな愛敬のある姿に加え、失った足や触角を再生するという興味深い生き残り作戦を見せてくれる虫として紹介されています。BRHにお越しの際はぜひ、見やすくクリアになった展示ケースのナナフシたちをご覧ください。

このナナフシは性格がおとなしく噛んだり飛んだりしないので、人とじっくり触れ合えるというのも魅力です。一昨年から生命誌オープンラボ(旧・実験室見学ツアー)で、川名スタッフと「ナナフシ触れ合いコーナー」を設けています。実は当初は、小さいお子さんは力加減がわからずナナフシをつぶしてしまうのではないかと心配でした。枝のような見た目に反してナナフシの体はやわらかく、特に子どもや赤ちゃんナナフシは体がふにゃふにゃだからです。しかしすぐに、取り越し苦労だったことがわかりました。大人が恐る恐るさわっているのに対して、慣れた子供達はちゃんと力加減をわかっていて、上手につまんで椅子の上を這わせたり壁のぼり競争をさせたりと、いつまでも飽きずに遊んでいます。以来、ナナフシコーナーに突進してくるお子さんには安心して手渡すようになりました。上手に生きものと遊べるかどうかは、大人か子どもかは関係なく、日々生きものと触れ合っているかどうかで決まるのですね。昆虫少年であり生涯生きもの好きだった岡田節人先生は、どんな風にナナフシと遊んでいたのだろうと想像してみたくなります。

[ 齊藤 わか ]

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