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BRHニュース

「生命誌を音楽に聴いた」

1997年10月5日 於京都コンサートホール

昨年秋、音楽イベント「音楽に聴く生命誌」を京都で催しました(生命誌19号コラム参照)。岡田節人館長のもとに寄せられた感想文の一部をここに紹介します。当日の雰囲気を少しでも感じ取っていただけたらと思います。

  • 普段のコンサートとは一味違った新鮮でさわやかな感動を受けました。とりわけて初めて聞いたラウタヴァーラの曲で、鳥の声とオーケストラの相性がこれほど良いのは驚きでした。そのお陰でコンサートホールに使われている木材のDNAが、鳥の声と音楽に共鳴して命を蘇生し、まるでコンサートホール全体が「森」と変身し、我々を自然の懐に包み込んでくれるような奇妙でi快い感動を受けました。
  • かねてから現代音楽には一種の嫌悪感すらもっていて、プログラムの1、2曲目については一体どうなることかと、不安一杯でおりました。しかし、あの日の名演奏に、心洗われた思いです。とくにラウタヴァーラの曲には、ただならぬ衝撃すら受け、すぐにCDを買い求めたほどです。最近、音楽を聴いてこのように胸躍る体験をしたことは、残念ながらありませんでした。
  • ラウタヴァーラの音楽の不思議な魅力に引き込まれるうち、はるかな北国の大自然の中で命が洗われていくような、まことに心地良い気分に浸っておりました。大人たちだけでなく今の中学生や小学生たちが、あのようなすばらしいひとときを過ごし、命を考えることができたら、どんなにいいだろうと思わずにはいられませんでした。
  • とりわけラウタヴァーラに感銘を受けました。人間がいなくても、充足した美しい自然の声、しかし、自分もまた生命体としてそれに唱和したいという衝動が、作曲者の内奥からわきあがってこの作品が作られたのだ、というのが聴いていてよくわかりました。科学の研究を含めた、人間の自然への接近の仕方の原点を示唆するかのようでした。

「朱鷺によせる哀歌」では、オーケストラが鳥の形に配置された

(左)ラウタヴァーラの曲には本物の鳥の声が使われている。演奏中スクリーンには北欧の鳥が映し出された。
(右)朗読する中村桂子副館長。澄んだ声がこだました。

(左)演奏の合間におこなわれた井上道義氏と岡田節人館長のコミカルなトーク
(右)朗読に使われたスライド。骨を通して生き物の歴史が語られた。

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