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Special Story

刺胞動物を探る
サンゴの一風変わった進化

爆発しそこなった生き物たち:工藤光子

刺胞動物とは、その名のとおり、刺を発射させる細胞(刺胞細胞)をもつ生物群である。刺されるというと思い浮かぶのはクラゲだが、ほかに、サンゴ、イソギンチャクといった身近な磯の生き物たちがこの仲間だ。

単細胞が多細胞化した時、最初に生まれたのが海綿動物、次いで誕生したのが、刺胞動物である。現存する多くの動物は、その後に生まれた動物が“カンブリア紀の大爆発”を経て進化してきたものである。

多細胞動物の細胞は発生の初期過程で、その大きさと相対的位置から3種類に区別される。内胚葉、中胚葉、外胚葉だ。海綿動物では、発生初期の細胞を区別できないが、刺胞動物ではその段階で2種類の細胞に区別できる。これを2胚葉性動物と呼ぶ。カンブリア紀の大爆発後の動物は3胚葉性動物。細胞が1種類でも、2種類でも大爆発には至らなかったが、3種類目の細胞の出現がカンブリア紀の大爆発つまり、形態の多様性の大きな引き金となったのではないだろうか。

最近の研究から、海綿動物や刺胞動物にも、3胚葉性動物がもつ遺伝子をある程度もっていたことが明らかになりつつある。多細胞の道をたどった生き物たちは、遺伝子の種類の増加をかなり初期に行っていたらしい。大爆発に一歩及ばなかった刺胞動物。彼らの何が足りなかったのだろう。それを知ることが3胚葉性動物の起源を知るためにも重要になってくるに違いない。爆発はしそこなったが、現在もちゃっかり生きのびている刺胞動物に、今、いろいろな方向から研究のメスが入れられている。

(本誌・工藤光子)

※所属などはすべて季刊「生命誌」掲載当時の情報です。

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