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ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【久々のクモ採集】

秋山-小田康子 先日、久々にクモ採集にでかけました。実験に使っているオオヒメグモを以前は頻繁に野外で採集していたのですが、研究室の中で世代を超えてコンスタントに飼育できるようになってきましたので、ここ数年は研究室でうまれた卵の子孫たちでずっと実験していました。しかし長年飼育しているとなんだか野性味が失われるというか、体も野外にいるものと比べて小さくなってきますし、卵も今ひとつ元気がない。しかも、研究の進展の具合でとにかく元気の良い卵をたくさん欲しいという状況になって、久しぶりに取りに行ってきたのです。オオヒメグモは日本はもちろん、全世界的にごく普通にいるクモです。コンクリートの壁が好きなようで、あまり日当りが良くない、そして雨が当たらない数センチでもひさしが出たようなところに静かにじっとしています。暴れるわけでもなく、むしろ怖がりで、ちょっと巣をゆらすと驚いて、自分が木の葉か何かであるかのようにすーっと地面に向かって落ちて行きます。ですから採集するのは簡単で、巣を揺らして、入れ物のふたを開けて真下で待ち構えていれば良いのです。ただ、ひとつ難しいことがあります。それは採集可能な場所を見つけることです。いくらクモがいるからといって、他人の家にいるクモを勝手に取る訳にはいきません。
 今回は、これまでも採集場所にしてきた京都大学のキャンパスに出かけました。京大に着いて早々に運良くBRHの元奨励研究員の小野さんと偶然出会い、彼が今研究している建物の周りをぐるりと案内してもらいました。自分で見つけたものも合わせて三十数匹、研究室に連れて帰ることができました。これまで、大学のキャンパスは採集しやすいところだと思っていたのですが、ふと気付くと、新しい建物にはカメラが設置されています。このご時世では仕方のないことなのかも知れません。これからは案内してくれる人を予め見つけておかないといけないのかも、と思っています。

[ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろうラボ 秋山-小田康子]

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