中村桂子のちょっと一言

館長の中村桂子がその時思うことを書き込みます。月二回のペースで、1995年5月から更新を続けています。

2019年7月1日

ちっ素と水ってその辺にたくさんありますでしょう

中村桂子

そんな研究が進んでいたんですか。化学というお隣の分野での最近の話題に接して驚いています。大学では化学を勉強しましたので、仲間にはそんなことも知らなかったのと言われそうですが。「ちっ素と水からアンモニアをつくる」という東大の西林仁昭教授のお仕事です。アンモニアと言えば、有名なハーバー・ボッシュ法で、19世紀に開発されたその方法が今も使われています。200〜400気圧、400〜650℃という高圧、高温でちっ素と水素を反応させるのです。化学肥料などに不可欠なアンモニアは年間2億トンつくられており、この合成のために人類のエネルギー消費の数%以上を使っているというデータもあるそうです。水素をつくるのにもエネルギーが必要ですし、この時CO2も出ます。それに対して、ちっ素と水から常温、常圧でつくる方法が開発されたというのですから夢のような気がします。しかけは、モリブデン触媒とヨウ化サマリウムです。ヨウ化サマリウムは有機合成にはよく使われる試薬とあり、ますます期待してしまいます。

研究室での成功ですから実用化の道はこれからでしょうけれど、水、常温、常圧となれば生きものの世界に近いわけで、こういう方向が見えてきたのはいいなあと思います。化学教室での実験では、いつも水は邪魔、反応を進めるには水を除くことが大事と教えられました。時代は少しづつ変っていると感じ、いつものことながら、これも生命誌と無縁ではないと思っています。

みなさんからのご意見生命誌の広場より

教科書の改訂に元気をもらいました。

投稿日:2019.07.03 / ニックネーム:竹ちゃん

今年の天候は、少し極端な気がします。
大きな災害にならないことを願っています。
後期高齢者の仲間入りする私も、中村館長さんのご活躍に元気をいただいております。

さて、来年度から使う小学校教科書の展示会に行ってきました。
少々不安をいだきながら国語の教科書を見ていきました。
すると、「生き物はつながりの中に」が教科書から消えていました。
6年生には少し難しいところがありましたが、印象に残る教材だと感じていたのにと、残念です。
更に詳しく見ると、「今、みなさんに考えてもらいたいこと」中村桂子 文 が載っていました。
時間がなかったのですが、全文を読みました。
やわらかい語り口で、目の前で中村館長さんのお話を聞いているような雰囲気になりました。
この教材は、6年生にも受け入れられるだろうと思います。
来年度、出前授業をさせてもらおうとわくわくしてきました。
また、「生き物はつながりの中に」を複数学級で出前授業しておかなくてはとも思いました。
子どもたちの感想が得られましたら送らせていただきます。

生命誌館の活動が多くの方に理解されることを願っています。
中村館長さんのお元気な姿を楽しみにしています。

語り合いの続きは「生命誌の広場」へ

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